レオナール・フジタ展

独特の発色をする「乳白色の肌」を描き、フランスで活躍した画家として著名な藤田嗣治a.k.a. レオナール・フジタ、1886-1968)の没後40年ということで、所在不明になっていた群像大作が日本で公開展示される「没後40年 レオナール・フジタ展」が上野の森美術館にて開催されています。

1992年、フランス・オルリー空港近くの倉庫で発見された、縦横3メートルの大作4点。それらは一部が1929年に日本で公開されたものの、その後所在が不明になっていた、藤田嗣治(1886-1968)の「幻の作品」でした。この4点はアトリエの建物とともにエソンヌ県の所蔵となり、フランス第一級の修復チームによる本格的な修復作業が、6年の歳月を経てついに終了しました。そして2008年夏、これらすべての大作が日本で一堂に会し、いよいよ初公開となります。また、今回は、この4点のほかにも、パリ日本館壁画と関連する貴重な大作1点が、世界初公開作品として加わります。
日本人でありながらも、フランス人レオナール・フジタとしてその生涯を終えた数奇な異邦人、藤田嗣治。本展では、独自のスタイルを確立し、大画面の構成に挑んだエソンヌの大作群を中心に、「すばらしき乳白色」と世界が絶賛した裸婦群を展示。また、アトリエ・フジタに残された豊富な生活資料や作品も日本で初公開されます。さらに、キリスト教改宗後、「レオナール・フジタ」として生涯を賭けて挑んだ、ランスの「平和の聖母礼拝堂」とそのフレスコ壁画の習作群も世界初公開。幻の群像大作への挑戦とエソンヌをめぐる生活、そして晩年の宗教画への昇華─本展は、5会場の出品総数 油彩約50点、水彩・ドローイング約100点、アトリエ関連作品約100点において、この類いまれなる世紀の天才画家の実像を明らかにし、いまだかつてない圧倒的なスケールで、藤田嗣治の実像に迫ります。

腕一本・巴里の横顔 (講談社文芸文庫)

腕一本・巴里の横顔 (講談社文芸文庫)

ユリイカ2006年5月号 特集=藤田嗣治

ユリイカ2006年5月号 特集=藤田嗣治