神奈川近代文学館では、「生誕80年澁澤龍彦回顧展 ここちよいサロン」が開催されています。6月8日(日)まで。
本年は澁澤龍彦(1928〜1987)の生誕80年に当たります。澁澤は、古今の書物を繙いては異端の作家サドなど歴史の闇に埋もれた存在に光を当て、明晰で洗練されたエッセイと翻訳により私たち読者をもてなしてくれました。また、幻想に満ちた物語「高丘親王航海記」や、澁澤独特の不思議な博物誌は、今なお読む者を時空の彼方へと誘います。生前、鎌倉の澁澤邸には主人を慕い、三島由紀夫、土方巽をはじめとする多くの芸術家が集いました。澁澤の明るい好奇心と拘泥のない透明な精神がゆきわたるサロン(客間)は、この上なく「ここちよい」空間だったといいます。そして澁澤が世を去った現在も、遺された作品=澁澤サロンは若い読者を迎え入れ、さらなる成長を続けています。